第2夜 魅惑の口付け

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「なんだ?」 と顔を上げると、遠くに見えるのはスーツを纏った樹利の姿。 樹利とパリスを先頭に、その後ろにはかつて四天王だった光に譲司が付き、更に後ろにはAngelのホストのほとんどが連なっていた。 颯爽と歩くその姿に、 「きゃあああ、樹利様、樹利様!」 「隣にはご寵愛されているパリス様」 「後ろには光君と譲司さんも」 「すごい迫力!」 キャアキャアと声を上げる皆に、雅は愕然として大きく口を開けた。 「な、なんで、光と譲司が」 呆然とする雅に、 「最近あっちに着いたみたいです」 と取り巻きが顔を引きつらせながらそう答えた。 「せ、聖夜は?」 「聖夜さんは変わらずに単独ですが」 「そ、そうか。それにしても、あの裏切り者め」 雅はそう言ってギリギリと奥歯を噛みしめた。
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