第2夜 魅惑の口付け

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「パリス君……私、初心に返って自分のことを見詰め直してみる。 お金の無駄遣いはしない。だからもう、ここには来ない。 本当に成功した時に、来ることにする」 そう言って顔を上げた彼女に、 「いつか成功した貴女に遭える日を楽しみにしています」 と極上の笑みを返すパリス。 「それじゃあ、帰ります」 と目を輝かせながらバッグを手にする彼女。 って、おいおいおいおいおいおい! 帰すなよ、客をーーーーーーーー! 呆然としていると、 「ほら、だから『使い方に気を付けろ』って言ったのに」 と隣のソファーで樹利がクスクス笑いながら、グラスを口に運んでいた。
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