第1夜 Crazy Moon

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「で、教えてもらえるかな、組長」 そう言った樹利に、組長はそっと腕を組んだ。 「ワシも極道。 ただで情報を渡すわけにはいかないな。それなりの見返りを要求する」 「あ、やっぱり?」 「今夜こそお前がワシのものになってくれたら、情報なんぞいくらでも」 そう言って樹利の顎をつかんだ組長に、パリスはギョッと目を開いた。 組長って、そういう趣味? それで樹利が来て喜んでたんだ? 呆然とするパリスの姿に、組長は察したようにクスリと笑った。 「ワシは虎が好きでね。 美しく鋭く自由なこの男はまさに虎」 「な、なるほど」 言われてみれば樹利はネコ科の猛獣っぽい。
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