第2夜 魅惑の口付け

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「……あの施設、か。 『研究所』って言った方がいいのかもね」 樹利がバスルームでシャワーを浴びる水音を聞きながら、ポツリとそう呟いた。 繰り返された投薬。 終わらない訓練。 叩き込まれた『知らなくて良いこと』の数々。 今こうして、自由に生活できているのが信じられないな。 小さく息をついて、飲みさしのトマトジュースを冷蔵庫にしまっていると、カチャリとバスルームの扉が開き、樹利が姿を現した。
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