第2夜 魅惑の口付け

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「…………スイッチが切れたんだ」 そう、樹利は寝る時、スイッチを切ったかのようにコトンと眠りに落ちる。 パリスは拍子抜けしたように肩をすくめ、 「それじゃあ本当にシャワーを」 とベッドから出ようとするも、その強い腕がギュッと身体を押さえていた。 「って、いつまでも抱き着いてない!」 と、離れようとしても、その手は強くつかんだままだった。 「って、樹利」 と見下ろすと、まるで子供のようにあどけない寝顔に、言葉が詰まった。 …………樹利。 二か月、誰とも寝てない、か。 もしかして樹利に必要なのは行為じゃなくて、ぬくもりだったりするのかな? 本当に欲しいのは快楽じゃなくて、人肌だったりする?
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