第1夜 Crazy Moon

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「どうじゃ、今度こそワシのものに」 そう言って顔を近付ける組長に、樹利は無念そうに目をそらした。 「悪い、おやっさん。 『男とだけはまぐわうな』っていうのが、祖父の遺言でさ」 って、それ、どんな遺言だよ? とパリスが顔を引きつらせていると、 「だから、その代わりに……」 と樹利はパリスの双肩に手を乗せた。 「うちの相棒をお貸ししますんで」 ニッコリ笑ってそう言った樹利に、パリスはギョッと目を開いた。 「は、はあ?」 「ほぅ、これはまた。虎と言うより、黒豹じゃな。だが悪くない。よし、手を打とう」 ポンッと手を叩く組長に、 「って、打たなくていいから!僕だって嫌だよ、そんなの」 とパリスは声を上げた。
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