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「あー、もう、パリスは男らしくないな。
ここでお前がおやっさんに一晩身を預けるだけで、貴重な情報が手に入る、おやっさんは嬉しい思いをする、お前は新たな扉を開ける。
一石三鳥とはこのことだろ?」
「それじゃあ樹利が新たな扉を開きなよ!」
「いや、俺は祖父の遺言を……」
「って、僕たちは施設出身で祖父なんていないよね?僕は絶対にこの身を売ったりはしない!」
ハッキリとそう告げたパリスに、樹利は『やれやれ』と息をついた。
「こういうわけだからおやっさん。
パリスからの『チュウ』で勘弁してもらえるかな」
心底申し訳なさそうに言う樹利に、
「キスか。これほどの上玉なら……それで手を打たなくもないな」
と組長は頬を赤らめた。
「よし、パリス、いけ!」
「って樹利!」
「チュウ、チュウ、チュウ、チュウ!」
煽るように手を叩いて樹利がそう言うと、どこからともなく出て来た部下達も、
「チュウ、チュウ、チュウ!」
と声を揃えた。
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