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「とりあえずピンチになったら合図するように。乗り込むから」
「了解、王子様。でも風邪ひかないようにしろよ」
樹利はそう言って自らのマフラーを外して、パリスの首にかけた。
「大丈夫だよ、心配性だな、樹利は」
「今夜は冷えるから。そこのカフェで待機でもいいし」
「うん、ありがとう」
そんな二人の姿に、通り過ぎる酔っぱらった女性達が、
「や、やだ、なにあのイケメン二人」
「マ、マフラーをかけてあげたりして、なんだか愛だわ」
と声を上げ、樹利はプッと笑った。
「それじゃあ、往って来る、ハニー」
そう言ってこめかみにキスをする樹利に、
「はいはい。くれぐれも気を付けて」
とパリスはあしらうように手を振った。
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