第2夜 魅惑の口付け

81/130
前へ
/347ページ
次へ
「とりあえずピンチになったら合図するように。乗り込むから」 「了解、王子様。でも風邪ひかないようにしろよ」 樹利はそう言って自らのマフラーを外して、パリスの首にかけた。 「大丈夫だよ、心配性だな、樹利は」 「今夜は冷えるから。そこのカフェで待機でもいいし」 「うん、ありがとう」 そんな二人の姿に、通り過ぎる酔っぱらった女性達が、 「や、やだ、なにあのイケメン二人」 「マ、マフラーをかけてあげたりして、なんだか愛だわ」 と声を上げ、樹利はプッと笑った。 「それじゃあ、往って来る、ハニー」 そう言ってこめかみにキスをする樹利に、 「はいはい。くれぐれも気を付けて」 とパリスはあしらうように手を振った。
/347ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12924人が本棚に入れています
本棚に追加