第1夜 Crazy Moon

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「さあ、行け、パリス!」 背中を叩いてそう言う樹利に、周囲の『チュウ』コールが強くなる。 パリスは小刻みに身体を震わせ、 「……いいかげんに、しろ!」 と怒鳴った瞬間、その迫力に皆は身体をビクつかせた。 「パ、パリス君?」 あまりにも変わった雰囲気に戸惑う組長に、パリスはニッコリと微笑んだ。 「……島田組長、情報を頂けたら後日それなりのお礼をさせて頂きたいと思います。 ですが下賤なやり方を強要するようでしたら……こちらにも考えはあります」 冷ややかにそう告げたパリスに、 「わ、分かった。今すぐ」 と組長は顔色を失くしながら頷き、その背後で、 「やーん、パリス怖ーい」 と樹利が楽しげに口に手を当てていた。 「……って、樹利」 パリスは息をつきながら額を押さえ、 「それでは教えて頂けませんか?」 と、しっかりとした眼差しを見せた。
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