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松井グループ本社の社内は落ち着きのない様子を見せていた。
仕方ないわよね、社長が事故で他界。
しかも轢き逃げだなんて。
社長秘書・雨宮ゆかりは苦い表情を浮かべ、
「すみません、コーヒーを買いにちょっとだけ出ます」
と重苦しい空気から逃れるようにオフィスビルを出た。
徒歩数分先のコーヒーショップに向かって歩いていると、
「あの……雨宮ゆかりさんですか?」
と横から声がして、ゆかりは「はい」と戸惑いつつ顔を上げた。
顔を向けた先には、驚くほどのイイ男がこちらを見ていて、言葉を失った。
目が合うなりそっと会釈をする彼に、ゴクリと息を呑んだ。
な、なに、この超絶イケメンは。
背が高くて、髪が柔らかそうで、少しハーフっぽくて、スーツが驚くほど似合っていて……まるで芸能人みたい。
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