第3夜 白椿の君

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――― ――――― ―――――――― 1月7日。 迎えた新年に浮かれた気持ちを残しながらも、皆が仕事を始める中、 歌舞伎町の街は今もお祭りムードを引きずっていた。 「おっ、今朝は京風白味噌の雑煮か。はじめて食べるな。年の初めのためしとてだな、パリス」 事務所の長椅子に座って雑煮を前に嬉しそうに目を細める樹利に、パリスは少し呆れたように息をついた。 「年の初めの『ためしとて』は『試し』じゃなくて、『例』。 つまり年の初めも例年通りにって意味なんだけど」
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