第1夜 Crazy Moon

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「あの秘書さんもお気の毒に」 「んー、部長と泥沼の不倫関係にあったらしいけど、俺とのえっちが終わった後『なんだか、あんなオヤジに悩まされているのが馬鹿らしくなったから、スッパリ別れて新たな出会いを探すわ』って明るく言ってたよ」 サラリとそう言った樹利に、パリスはパチクリと目を開いたあと、プッと笑った。 「……樹利のそういうところは本当にすごいよね。肌を合わせた子をちゃんと前向きにさせるんだから」 「セックスセラピスト?」 「ばか」 とパリスは呆れたように肩をすくめた。 「それより息子の方は調べられそうか?」 「うん、簡単に」 パリスはそう言ってパソコンを開いた。 「珍しくハッキング?」 「……法を犯すことはあまりしたくないんだけど、正当防衛ってことで」 とパリスは鋭い眼差しを見せた。
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