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「なるほど、松井社長は自分の息子がアヤシゲな宗教の教祖になっていることに、愕然としたわけだな」
「そうだね。そして事実を突き止めた探偵としては、社長も教祖も揺すれたわけだ」
パリスはそう言ってノートパソコンを閉じた。
「だな、教祖としても自分が会社の金を持ち逃げして勘当された男だってことを知られたくないだろうし」
「そうだね。だから名前を隠しているんだろうし」
「だよなぁ、そんな男が教祖になって偉そうなこと言ってても、失笑しかないもんな。
いや、まてよ。
『キャバ嬢は怖い』ってことを説いてるなら、すげぇ説得力がありそうだな」
真顔でそう言う樹利に、
「また、そんなくだらないことを言ってない。
もしかしたら松井社長を殺したのは、その探偵じゃないかもしれない」
「ああ。そしてその探偵ももしかしたら、とっくに処分されてるかもしれねぇな」
「となると、行くところはひとつだね」
「終末審判教に潜入だな」
二人はニッと笑って、立ち上がった。
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