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「くっそー、金を没収されることは予想してたけど、密かな楽しみまで奪いやがるとは!
ここは欲のデパートかよ」
大講堂へと続く長い通路を歩きながら小声でブツブツとそう言う樹利に、
「まぁ、仕方ないよ。でも読み通りお金をあまり持ってこなかったのは正解だったね。携帯電話は取られないように誤魔化すつもりだったのに」
とガックリと肩を落とすパリスに、樹利は小さく笑った。
「まぁ、俺のがあるし。二人とも持ってないなんて不自然すぎるから、ひとつは渡しておいた方がいいんだよ」
「なるほどね」
「にしても、これから講堂でお勉強とはかったるいなぁ」
「シーッ、もっと小さな声で」
とパリスは慌てて口の前で指を立てた。
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