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「にしても、樹利のあのムチャクチャな懺悔はなに?」
思い出したように小声で尋ねるパリスに、樹利は「ああ」と頷いた。
「大の男が二人揃って出家しようってのは、同じ女にフラれたってのが一番自然だろ?」
「なるほど、そう言われてみれば、そうかもしれないけど。
……あの鼻フックのくだりはいらないよね?」
「あれは俺の願望だよ。
一度パリスのお綺麗な顔に鼻フックを決めたいと思ってて、ガッツリ喧嘩になったら必ずやってやろうと思ってるのにお前が仏男子すぎて、なかなかそこまでの喧嘩にならないからさ」
そう言って拳を握り締める樹利に、
「……このドS男子」
とパリスは額を押さえた。
「大丈夫、作り話の中だけど鼻フックできたから、もうスッキリしたよ」
そう言って晴れやかな顔を見せる樹利に、
「はいはい」
とパリスは肩を上下させた。
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