第1夜 Crazy Moon

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「だってパリスは俺が女の子を連れ込むたびにカリカリするからぁ」 「事務所に連れ込むからだよ!」 「ほらまた。 でもゴメン、俺は男の子抱く趣味はないから、俺を思って一人シてね?」 楽しげにそういう樹利に、 「それ以上言うと、容赦しない」 とパリスは冷ややかな目を見せた。 見る者をゾクリとさせる氷のような冷たく迫力のあるオーラに、 「怖い怖い」 パリスは怒ったら怖ぇんだよなぁ、と樹利は肩をすぼめ、 「それより、依頼主って?」 と誤魔化すように話題を変えた。 「ああ、なんとあの『松井グループ』の社長なんだ」 目を輝かせていうパリスに、樹利は眉をひそめた。 「松井グループの社長?嘘だろ」 「嘘じゃないよ、信じられないけど本当に大企業の社長が依頼してきて」 「いや、さっきテレビで、そいつは事故で死んだってやってたけど?確かひき逃げで。腰振りながら観てたからハッキリ覚えてないけど」 「えっ?」 「ほら」とリモコンを手にテレビをつけると、 丁度午後のワイドショー番組が放送されていて、松井グループの社長がひき逃げに遭い亡くなったことを伝えていた。
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