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「……ただの砂漠の蜃気楼を『オアシス』だと信じたくて、そう思い込もうとしている、人の心理をついた素晴らしい標語だと思うんです」
素晴らしい標語だと思うんです、って自分が考えた言葉に対して何を言ってるんだい、樹利。
「皆さんはここを砂漠だと知りながらも、必死に『ここはオアシスだ、ユートピアだ』と言い聞かせているように俺の目には映りました」
そう告げた樹利に、皆は黙り込んだ。
「皆さん、“騙されるな、キャバ嬢と蜃気楼”。
金を使う必要がない場所だから楽園?金はなくても、ここには階級がある。それは差別を意味する。
真の神が人に位をつけると思いますか?」
そう言って鋭い眼差しを見せた樹利に、
いいこと言ってるようで、標語が俗っぽいものに変化してるし!
何よりいきなり教団の糾弾は危険すぎる!
パリスは焦りを感じて「ちょっ、樹利」と身を乗り出すも、
皆はハッとした様子で目を大きく見開いた。
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