第1夜 Crazy Moon

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「一番気になるのは、やっぱりあの証言だよな」 上体を起こして腕を組む樹利に、 「ああ、塀の向こう側の……」 敷地内に地下室があるって話だよね。 パリスがそう続けようとすると、 「昼夜問わずに喘ぎ声って、どんだけお盛んなんだよ。俺もぜひ聞きたいし」 と真顔で告げた樹利に、「そこじゃないよね?」とパリスは目を剥いた。 「まぁ、ついでに地下室ってことで、喘ぎ声を聞くかたがた行くとするか」 と樹利は立ち上がった。 「え、もしかして……」 「そう、導師の『大奥』。塀の向こう側だよ」 樹利はそう言って不敵な笑みを浮かべた。
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