第1夜 Crazy Moon

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サラシをすべて解いて、重しをつけ塀の向こうにある大木の枝に向かって放ると、見事に括りつけられ、 「よし」 と頷いて、樹利とパリスはサラシをしっかりとつかみ、順番によじ登った。 軽い身のこなしで塀の上まで行くと、まるで大奥を思わせる和風で平屋の豪邸が目に入り、樹利は「こりゃすげぇな」と笑みを浮かべた。 「建物には明かりがついているね。見つかったら大変だよ」 「ここは導師以外は女なんだろ?なんとかなる」 そう言い切った樹利に、 「さすがの自信だね」 とパリスは肩をすくめた。
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