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「それよりパリス。この屋敷が『大奥』なら、あそこの建物は、多分一等信者の住まいだろうな」
そう言って塀との間にある平屋の建物を指した。
「うん、そう思う。それよりこっち側が二等、そして更に端が僕たちのいる三等信者の建物ってことだろうね」
「だとすると幹部も立ち入るとされている地下室の入り口は、大奥の奥というより一等信者の建物との境目がアヤシイところだよな」
「そう考えるのが自然かもしれないね。導師は自分の女性を人に見せたがらないみたいだし」
「でも飽きたら、他の信者に引き渡すんだろ?舐めてるよな」
樹利はそう言ってチッと舌打ちした。
「とりあえず行こう。犯罪の証拠がつかめたら、警察を踏み込ますことが出来る」
「ああ」
そう言って二人は軽い身のこなしで音を立てずに、塀から飛び降りた。
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