12918人が本棚に入れています
本棚に追加
/347ページ
ベランダから隣のビルへと飛び移り、非常階段で下へと降りていく。
スーツ姿の男達がベランダに出て、身を乗り出しキョロキョロと辺りを見回していた。
「あれはやっぱり警察かな?
家に勝手に入ってるってことは、もう令状が出てるってこと?」
階段を駆け下りながらそう話すパリスに、
「警察でもそうじゃなくても、勝手に人の部屋に入り込まれているのは、俺達にとって厄介なことには違いねーよ。
くそ、令状じゃなくて令嬢なら喜んで出頭するのに」
「こんな時までバカなことを言ってない」
一階に降りてそのままビル地下の駐車場に向かう。
真っ黄色の丸みを帯びたワーゲンに乗り込みキーを回すも、カリカリカリブスブスブスッと気の抜けた音しか出なかった。
「って、またエンジンかからないの?」
呆れたように目を開くパリスに、
「そういうな、こいつなりがんばってるんだよ」
と樹利はまたキーを回した。
最初のコメントを投稿しよう!