第1夜 Crazy Moon

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――― ――――― ―――――――― 「私と導師様の16番目の奥様であるナーガ様の出会いは導師様の夜の生誕祭でした。 出席者は一等信者と導師様の奥方様達。もちろん、奥方様はベールでお顔を隠してのご参加。 ナーガ様が落としてしまわれた腕輪を拾って差し上げようと膝をついて彼女を見上げた時、ベールが風になびいてそのお顔を目にしてしまったのです。 それからずっと私は導師様に罪悪感を抱きつつ、ナーガ様を想い、生きてきました。 そんな折、再び式典でナーガ様にお会い出来まして、その時にお手紙を頂きまして。 『水曜の夜は導師は屋敷一番端の女の元に必ず行くから、その時に会いに来てほしいと』 それが罪だと知りつつ、わたくしは禁忌を犯してしまいました。 ナーガ様と……導師様の奥様とまぐわってしまったのです」 沈痛の面持ちでそう告げるカイルに、 「いやぁ、いいと思うけど?妻って言ったって婚姻届出してないだろ?法律的には問題ないし」 と樹利はサラリと言い、 「って軽いな、樹利」 とパリスは顔を引きつらせた。
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