第1夜 Crazy Moon

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「ふ、ふん、口から出まかせを……始末しておけ」 そう言って踵を返した導師に、一等信者たちは弱ったように顔を見合わせた。 「パリス、ヒンディー語も話せるんだ。やるぅ」 耳元でそう囁いた樹利に、 「“今日はいい天気ですね。駅まで行くにはどうしたら良いですか?”って言ってただけなんだけどね。ヒンディー語はその程度しか話せない。ラテン語ならもっといけるんだけど」 とパリスは苦笑を浮かべた。 「さっすが」 他の者には聞こえない程度の声でそう囁き合っていると、 「何を話しているのか知らないが黙れ!」 と信者は声を上げた。
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