第1夜 Crazy Moon

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「か、可哀相ってどういうことだ!」 「そうだ、可哀相なのはお前らだ!」 ムキになって声を上げる信者たちに、 「すべての元凶は導師。お前らは操られているだけ。邪魔者の処分も自らの手を染めずに、部下にやらせてるんだろ?」 静かにそう告げた樹利に、信者たちは言葉を詰まらせた。 「お前たちだって、本当はそんなことはしたくないんだよな?」 続けてそう言う樹利に、皆は顔を見合わせた。 「これ以上罪を重ねるのはやめなさい。さぁ、この扉を開けて」 そう言って手を伸ばし天使のような笑みを浮かべた樹利に、 「そ、そんなこと言われても騙されないぞ」 「逃げるつもりなんだろ」 「開けるのは、刑を執行するためだからな」 と言いながら鉄格子の扉を開けた。
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