第1夜 Crazy Moon

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――― ――――― ―――――――― 「な、なんだこれは!」 鉄格子の中で気絶したままゴロゴロと床に転がる信者たちの姿に導師は大きく目を見開いた。 「あらぁ、あのボーヤ達、結構やるのね」 楽しげに笑うナーガに、 「そんなことを言ってる場合か。いつまで経っても報告に来ないと思ったら……」 と導師はイライラしたように髪をかき上げた。 「もう外に逃げちゃったかしらね?」 ふぅ、と息をついて腕を組むナーガに、導師はすぐに携帯電話を取り出した。 「どこに電話するの?」 「難田組の若頭だよ。外に逃げたとしても、そこの辺境の地ならそう遠くへは逃げられまい」 と電話を耳に当て、 「あ、私です。信者が脱走しました。まだ遠くには行ってないと思いますので、協力お願いします。はい、失礼します」 焦った口調でそれだけ言って電話を切った。
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