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キーンコーンカーンコーン
「む。じゃあ今日はおしまい!!明日までによく考えてくること!!わかったな?」
「は~い。」
やる気のない声が教室に響く。
ガラガラガラ…ばたん
先生が教室から出たとたんどっと空気が騒がしくなった。
「早紀!!」
誰かに私の名前が呼ばれた気がして辺りを見渡す。
「早紀ってば!!」
教室をぐるっと見渡して私を見る女の子と目が合う。
「あぁ、優奈か。」
「あぁ、じゃないっ!!何回も呼んだのに~。」
そう言って頬を膨らませている小さい女の子は春上優奈(ハルウエユナ)
名字が同じで何となく一緒にいる。
…向こうは何となくではないみたいだが。
トイレにいちいち連れていかれんのは勘弁。
「さっきの七瀬マジうざ。」
七瀬とは担任、先生の名前だ。
名字はカッコいいが、名前は一郎というなんとも残念な感じだ。
「意味わかんない!!あぁ!!これもみかえり虫のせいだよ!!」
…また始まった。
優奈はこういうのが大好きな人間だ。
そのせいか本当に仲良しの友達はいないみたい。
まあこういうときだけ集まるグループで楽しくやっているみたいだが…
私は自分の機嫌が悪くなるのを感じた。
そういうときはなるべく笑顔でトイレに行く旨を話す。
大抵ついてきたがるが、何度か断ればおとなしく教室に居てくれる。
「ねぇ優奈?私トイレ行ってくるから。」
「えー!?優奈も行く!!」
「すぐ戻るからさ。」
静止の手を出すと優奈はしぶしぶといった感じで比較的仲良しグループに混ざりに行った。
「わかった。優奈待つよ。早くね?」
「うん。」
ガラガラガラ…ばたん
はぁ
私らはカップルか。
一人ツッコミを入れながらトイレに向かう。
私はつきまとわれるのは嫌い。
一人の方が好きだから。
ぼっちだとか言われるけれど静かな方が好き。
だからか友達と遊びに行くことはほとんどない。
つまらなくない、と言えば嘘になるけれどまあそれなりに楽しいから私は現状維持だ。
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