《7》

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  それから、数週間が経った。 羽村澪……いいえ、+Dとのあの一件以来、すっかり仕事を干されてしまった私は、毎日をぼんやりと過ごしていた。 最初の一週間ほどは歯痒さに気が狂うかと思ったけれど。 叔父に懇願できなくなったことで、私は今の状況を受け入れざるを得なくなっている。 生活は、一変したわ。 仕事の都合がころころ変わるせいで予定を入れられない、なんてことはなくなった。 早くあがれるから、仕事帰りにふらっと買い物する時間だってある。 随分前から行けなくなっていた習い事も再開することができた。 思いつきで平日の夜にヘアサロンに予約を入れることだってできる。 必要に迫られなくても、デザインに飽きたという理由でネイルサロンにも行ける。 おかげさまで髪と爪はいつも完璧だ。 お気に入りのショップが開いている時間に帰れてしまうものだから、衝動買いの機会が多くて、ちょっと出費が増えたけれど……そんなのはこれまでの鬱憤を晴らすためだと思えば、些細な金額だと思う。 .
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