OP 『自我』

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光を浴びて細やかに反射する髪は長く、濃藍色であるのがわかる。 シルエット通り、一見手足が長く華奢な色白な身体は実は鋼の如き強靭さと鞭のようなしなやかさを兼ね備えた物であった。 それでいて身体のラインにはメリハリがあると云う贅沢な身体つきだ。 赤く輝く両面を持つ、間違い無く美形に分類されるであろうそれは、一糸纏わぬ裸身の少女だった。 凛々しい顔付きから中性的な印象を与え美形の少年にも見えるが、惜し気も無く晒されたバストがそれを否定して余りある。 ここまでなら何でもない、ただの美形変態痴女だ。 そうでないと断定出来るのは、その両手と身体のあちこちに、べっとりと赤い液体が付いているからだ。 少女はただ疑問の言葉を呟き、物言わぬパソコンを見下ろす。 自分に『何が出来る』のかはわかるが、自分は『何者で何をすればいいのか』がわからない。 少女の状況を端的に説明したら、こうなるだろう。 猟奇的変態美少女は周囲の惨事には興味を示さず、ただ命令を与えられるのを待つかのようにその場に立ったままになっている。 つまり、それはこの惨事を引き起こしたのがこの少女自身であることを物語っている。 それから数分後、パソコンの画面に変化が現れた。 何か赤い文字が点滅していた画面は一旦真っ暗になると、今度は青い画面に変わり白い文字を次々に表示し始める。 『アリス』 『Zero-systemを解除せよ』
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