居酒屋まるのクリスマス

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そして、24日当日。 「やっだー、泉実ちゃん!こんなにたくさん作ってー!」 いわば幹事である珠美さんは、受付時間の午後9時30分より1時間も早く来店した。 「私たちが料理を持ち寄るって言ったのに。」 「すいません。ほんの少しだけ、作らせていただきました。足りなくなったときにでも使ってください。」 「何言ってるのよ。泉実ちゃんの料理なら、みんなが最初から食べるに決まってるじゃない。あ、これ、私が作ったやつね。お皿貸してくれる?」 そう言って珠美さんが取り出したのは、どう見ても焼いた小イワシの丸干し。 いや、何も言うまい、魚好きの珠美さんならではなんだ、きっと。 たとえクリスマスっぽくなくても。
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