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―ファミレス―
ちょうどお昼だったので各自食べたい物とドリクバーを頼んだ。
席は私と奈津美が横に並んで座り、そして私の目の前にはあいつが美味しそうにハンバーグを食べている。
「木村ってなんで突然、転校していったの?」
突然、核心に迫った質問をしたのは奈津美だった。
カラン。
驚きのあまりスプーンが手からこぼれ落ちた。
「ごめん」
みんなの視線が一気に集まってきて慌てて謝った。
それは私が一番、聞きたかったことで、そして一番聞けなかったことだった。
竜哉を最後に見たのは転校してしまう前日の放課後。
「バイバイ」―――そう小さく言って帰っていった背中を見たのが最後だった。
明日になればまた「おはよう」といつもみたいに言ってくれると思ってたあの日。
いつもみたいに他愛のないことでケンカして笑って……
「当たり前」の日が続くと思っていた。
でも次の日、担任の口から転校のことを告げられた。
どうしても聞きたいことがあったのに……
もう二度と聞けないと知った。
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