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目が覚めたら、別人になっていた。
「……おう?」
だが以外にも、俺は冷静であった。
あまりにも異質な出来事に、頭が追いついていないからだ。なので、ここは現状分析ということで、一つ一つ確認をしていきたい。
鏡に映るのはいつもの冴えない顔ではなく、中性的であどけない顔立ちであった。目はぱっちりとしていて、幼い男の子特有の雰囲気をまとっている。
しかも、変わっているのは顔だけではない。
体全部がそうだ。身長なんて、随分と小さくなっている。手とかも、なんかいつもより小さい気がするな。
年齢は……まあ、小学校高学年――十歳とか、十一歳とかその辺りだろう。
「まさか、性別も変わってないだろうな……」
女の子と言っても、おかしくはない容姿なのだ。
そのため俺は、てっとり早くあれを確かめることにした。
その小さい右手を、股の間へとゆっくりと伸ばす。
緊張の瞬間だ。これでなかったら、なんかこう、色々と、あれだからな。
むにゅ。
……鈍い感触。
うん、ちゃんとあるな。つまり、さすがに性別までは変わっていないということになる。
「にしても、けっこうイケメンだよなあ」
鏡をまじまじと見ながら、思う。
いや、まあ、自分の顔見ながらイケメンとか思いっきりナルシストだけどさ……これが、本当なのだ。
いわゆる可愛い系とでも言うのだろうか。この美少年の顔立ちは、病弱そうな美少女のような、男の俺ですら保護欲を刺激されるものなのだ。多分、これで甘えられでもしたら女の子達はたちまちイチコロとなってしまうだろう。
うむうむ。とすると、俺はついにモテ期というものが到来するのだろうな。いやー、参っちゃうなー。うへへー。
「って、そうじゃねえよ! なんだよこれは、どうしちゃったんだよ俺は!」
思わず自分に自分へ突っ込みを入れた。声変わりしてないソプラノの音だった……。
しかしどうなってるんだろうか。モテ期は顔面が変形する時期を指すことじゃないのはわかっている。当たり前だ。かといって病気……でもないだろう。
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