残り雪

第一章 天狗見参

尋ねた人はその応えに満足して話しは終わったが
もう少し拡げていたら、他の修行法も聞けたのに残念だった。

こうしている間に、かの若者はみを躍らせていた。

鮮やかに弧をえがいて着水したが大きな水音も飛沫もあがらなかったのは修練の結果だろか。

この男は、水戸藩太田代官所勤番をしていた関彦右衛門の次子

せき哲之進という 彼はまだ お城に出仕していない。

そうこうして一時半も経ったころ彼は水から上がり帰っていった。