初恋?

7/10
前へ
/60ページ
次へ
「若、車に・・・」 「ああ・・・ゆき。車に乗ろう」 「あの人は?」 「ボクのボディーガードの権藤だ」 「ボディーガード?」 「まぁ・・・信用のおける奴だ」 「ふーん」 「この恰好じゃ走り回るってことはできないな。公園で散歩・・・か?つまらないかな」 「ううん、いいよ。こたクンと一緒なら楽しい」 「おやおや、よかったですねェ、若」 「うるさい」 二人で並んで、後部座席にモジモジして座っていると、急ブレーキがかかった。 「あっ!」 思わずゆきを抱き締める。ふんわりとした感触と花のような香りがした。 これが・・・女の子? 顔に火がついたようになった。見るとゆきも白い肌が桜色に染まっている。 「あっ・・・ごめん」 「こたクン・・・あっありがとう」 また沈黙が続く・・・気まずくて外に目を移すと、気球が飛んでいた。 「みろ!ゆき。気球だ」 「ホントだ」 「すごいな」 「うん!初めて見た」 一気に気まずい雰囲気が和んだ。運転席の権藤も目を細めた。 ほどなく公園についた。公園に似つかわしくない正装の二人。 こんな格好なので、仕方なくぶらぶらと散歩する。 季節ごとの花が植えてあって、今は水仙やパンジーが咲いていた。 ボクはそっとゆきの手をとる。ゆきがちょっと赤くなった。 「寒くないか?」 「うん。大丈夫」 「あそこの売店の中で、あったかいの飲もうか?」 「そうだね。あ・・・でもこたクンお金がない」 「権藤がいるんだから、大丈夫だよ」 「でも・・・」 「ガキなんだから、大人に任せておけ」 「そう?・・・いいのかな」 「いいよ。権藤、あったかくて甘いの、買ってきて」 「はい、ただいま」
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

517人が本棚に入れています
本棚に追加