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神谷は、るいの落ち着く表情を確かめ、席に着いた。私も若干ほっとした。
勉強は嫌いだが、騒動よりも授業のほうが何倍もマシだ。
「保健室? やっぱりお前ら、なんかあったんだ。保健室で襲ったとか! すげー! やるな神谷」
終わったと思われた騒動が秋山の発言で再熱する。秋山の言葉は純粋に見えて、いつだって毒がある。
るいをライバル視しているからだろうか? 曜子を取られまいと。
「再現しろよー再現! 大人の神谷君、僕たちに教えて!」
竹下が息を荒く、興奮した調子で言った。
――さぁーいげん! さぁーいげん! 再現! 再現!
クラスメイト達が一体化したように、再現コールが始まった。
「それとも神谷がホモっていう噂、本当な訳?」
狐目の立花麻美が、追い討ちをかけるように挑発した。
「ホモだなんて、止めろよ。そんな噂は間違いだ!」
神谷はるいをチラ見したが、気にしていない素振りで片肘をついていた。
「違うってところを見せてみろよ!」
神谷は俯きながら、仕方なく立ち上がり、私に顔を向けた。
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