第11話

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 ――まさか、神谷君、ふざけないでよ! 意を決したように、ゆっくりと近づく神谷。とうとう横までやって来た。じっと、氷のような目で顔を見つめる。 「綾、あの時の2人の情事。見せ付けてやろうぜ?」 その表情は、圧力をかけたい人の顔付きではなく、どこか悲しげだった。 神谷君、私に好意を寄せているんではないんだね……じゃあ、なぜこんな事を? 頭の中でいろいろ考えているうちに、それが隙になってしまったようだ。 いつの間にか頬に、神谷君の髪の毛が触れていた。背中には彼の熱い手の平が、圧迫していた。 「は、放してよ! ふざけ過ぎだよ!」 神谷君の唇から、耳に吐息が掛かる。そして2人だけに聞こえるように、ボソッと呟いた。 「2人だけの秘密にして、ゴメン綾……」 ――え、一体どういう意味? 「神谷止めろ! 綾に触るな! まさか二人だけで会っているのか!」 るいは神谷の腕を締め上げた。 「いっ痛い、放してるい……」 「絶対に許さない。帰りに詳しく話を聞かせて貰う。いいな?」 じろりと鋭く睨み付け、腕を放した。神谷君はなにか言いたげに、るいに視線を返す。 「今日も君達は、うるさいねぇ! グッッドモーニーングゥ悪ガキども! 早く席に着きたまえ!」
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