無明の闇

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 学校では全校朝礼が急遽開かれた。そこでは井上曜子の火事の話が語られ、全員での黙祷が行われた。 静かな体育館では、啜り泣きが聞こえ、悲しみが広がった。 特に江藤りさや間宮英子、秋山たかしは大粒の涙を流していた。りさはサファイヤを、強く握り締め、俯いていた。 だが立花麻美は違った。うっすらと微笑みさえ浮かべているようにも見えた。 るいを奪い合うライバルが減り、自分の仲間が増えるからだろうか。 朝礼が終わると、ゾロゾロと軍隊のように、一組ずつ体育館から教室へと戻る。 気のせいだろうか。今日は特に射るような眼差しが痛かった。
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