無明の闇

9/29
前へ
/29ページ
次へ
「お前ら、何を盛り上がっているんだ? 曜子が亡くなったばかりなんだぞ? これだからガキは……」 ――猿田だ! 生徒達は急いで席に着いて、前を向く。 社会、学校、世の中……弱いものを虐め、強いものに媚を売る。そんな人間達で、全てが埋めつくされているんではないかと錯覚する。 それは誤り? ……錯覚、幻想じゃないんだ。これが真実。 残った力で立ち上がり、フラフラと席に着いた。両手で顔を隠し机に伏せた。 涙を流す姿を誰にも見られたくない……この雫を止めたいのに、とめどなく流れる。 まるでブレーキが壊れた、自転車のように車輪は回転し続けた。 「綾。そう言えば曜子が死ぬ前に変な事を聞いてきた」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加