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気づくと咲穂も軽く俺に抱きついている。
あまりに可愛くて頬を指でつつくように触れてみれば、
少し眉間にシワを寄せ眠そうに唸りながら小さく顔を振る。
そしてまた俺の胸板に頬を寄せ、
安心しきった顔で寝息をたてだした。
これで咲穂とは三度目の朝を迎えたが、
今までとは違う。
あの時は朝、
目が覚めたらどこか虚しさを感じたが、
今はすごく幸せな気持ちでいっぱいだった。
確かに咲穂は酔っていたが、
もしかしたら思っていたよりも酔っていなかったのかもしれない。
抱いたときの咲穂の反応も今までとは明らかに違った気がした。
そして最後に言い残すように口にしたあの言葉。
忘れることができない。
今もずっと耳の奥に残っていて心に染み渡るように響き続けている。
――すごく心地いい響き。
目を閉じればまるで夢心地で意識を手放したくなる。
いっそ会社なんか休んで
1日このまま咲穂とベッドで過ごすのも悪くないなと思ってしまったが、
さすがにそういうわけにもいかない。
そんな幸せな想像ばかり膨らませていたが
咲穂が目を覚ましたら、
どんな反応を示すのかと考えたら
本当は怖かったが諦めて起こすことにした。
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