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「咲穂、
シャワー浴びるなら
もう起きないと……」
起こそうと咲穂の肩を軽く揺さぶってみる。
「んっ……」
微かな反応を見せるが
全く起きる様子のない咲穂に朝が弱いことを思い出す。
「咲穂!」
俺はわざと声を荒立て、
さっきよりも激しく揺さぶってみる。
「はい!」
なぜか元気良く返事したと思うと
飛び上がるように起きた咲穂がすごく可笑しかった。
でも咲穂はすぐ目の前にいる俺に気づくと、
驚きを隠せない様子で目をぱちぱちさせた。
どうやらまだ寝ぼけているのか、
今の状況がのみ込めないらしく
驚いた顔でキョロキョロと目を泳がせだす。
いつかの朝を思わせる咲穂の様子に
――すごく嫌な予感がした。
また同じことの繰り返しをしたのかと、
心の中で何度も自分に問いかけ、
否定する。
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