朝再び…

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覚えていないんだから仕方ないだろと、 私は開き直ってかかっていた。 それよりも文句を言いながら 私の上から退こうとしない男が 気に食わず、 私は服の胸元をギュッと掴み 男を威嚇するように睨み続ける。 そんな私にやっと諦めたのか 気だるそうにゆっくりと私の上から退き、 またタバコに火をつけ吸い始め沈黙が続く。 それが男の無言の訴えのようで 居心地が悪い。 確かに覚えていない私にも 非はあるだろうが、 所詮は私の記憶で男にとやかく言われたくはないという気持ちもあった。 「覚えてないの…… 思い出せないの!  教えてよ」 でも私のスッポリ消えた記憶を知っているのは、 この男一人だけ。 本当はこの男に訊くなんて絶対に嫌だけど神崎さんも当てが外れ、 もう彼しか私の抜けた記憶を埋めてくれる人はいない。
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