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私は男の力に為すすべもなく流されていった。
「やっ……」
耳を舐められ出したくもないのに
甘い声が漏れる。
こいつ、
すごく慣れている。
男の行為は目眩がしそうなくらい気持ちよくて
心とは裏腹に流されてしまいたい
と思う自分もいた。
あんなに身体を強張らせ抵抗していたはずなのに、
いつの間にか抵抗することも止め男に身を委ね始めている。
もう流されてもいいかな――
そう思い目を閉じたが
「咲穂……」
甘い声で名前を呼ばれ、
鼓動が跳ねあがったと同時に
現実に引き戻された。
一気にブレーキがかかり私は
思い出したように男を押しのけ、
頬を叩く。
パシッと乾いた音が部屋に響き、
それを合図にするように男の動きが止まる。
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