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昨晩の事を掻い摘んで彼女に話していった。
彼女は始終、
険しい表情で俺の話に耳を傾け、
時折悲鳴のような驚きの声を上げる。
やっぱり昨日の咲穂は夢だったのだろうか、
と思えるほど完全に俺を拒絶しているのが手に取るように分かる。
どれほど俺の事が嫌なのか膝の上で作られた握り拳から見て取れる。
話し終えても焦点の定まらない目で一点を見つめたまま何の反応も見せない咲穂に
俺はどう対応すればいいのか分からなかった。
「おい!
人の話を訊いてるのか!?」
痺れを切らした俺は彼女の肩を掴み、
大きく揺さぶり声をかける。
ビクッと咲穂の身体が大きく跳ね、
固まった顔で俺を見返してきた。
そして俺を睨みつけながら距離を取るように後退りだす。
咲穂の突然の行動にムッとした俺は後退さる咲穂との距離を詰めるように近づく。
「近寄らないでよ!」
俺との距離を保つように手を前に出し制止ながら
心底嫌そうな顔で間を入れず叫ぶ。
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