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そこまで嫌がられる筋合いはないと、
さすがの俺も苛立ちを覚える。
「お前が逃げるからだろう。
教えて欲しいって言うから
人がせっかく教えてやったのに、
その態度の方がどうかと思うけど。
じゃあ、
その辺に捨てて来れば良かったのか?」
苛立ちからついつい言葉を荒立ててしまう俺に
咲穂は怪訝(けげん)そうに口元を尖らせ、
また黙り込み俯く。
都合が悪くなったら黙りか……。
まるで拗ねた子供のような態度に厭きれ、
ため息を漏らす。
暫く放っておいて、
とりあえずコーヒーでも飲もうか――そう思い、
勢いよくベッドから立ち上がる。
すると何を勘違いしたのか彼女が過剰なくらい反応し身を縮めだす。
「なんもしねぇよ。
……コーヒー飲むだけ。
咲穂も飲むんなら来いよ」
そう俺は彼女に言い残し、
寝室を出ると足元には脱ぎ捨ててあったジャケットが落ちていた。
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