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「義務はなくても、
そこまで隠す必要もないだろ?
今度、
会わせろよ」
当たり前のように言い放ち俺の反応を楽しむ佐藤に苛立ちを感じたが、
咲穂の事になると隠しきれない自分が可笑しい。
これ以上、
こうしているわけにもいかず
一向に諦める様子がない佐藤に
俺はとうとう観念して
「……一度、
会ったことあるよ」
ポツリと言うと素早くタバコの火を消し、
逃げるように喫煙所から出た。
隠しきりたい気持ちと見せつけたい気持ちが複雑に絡み合う
――変な感じ。
こいつだけはダメだと思いながらも今の幸せを言いふらしたい。
いっそ結婚したこともぶちまけたいが、
それはさすがに咲穂の了承を得なくてはマズイ気がしたから我慢。
「ちょっ、
待てよ!
会ったことあるって……」
俺の言葉に驚き、
慌てた様子で佐藤もすぐに出てきて俺の肩を掴んできた。
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