1582人が本棚に入れています
本棚に追加
無視を決め込む俺に佐藤は
｢ふーん」
と意味ありげに言うと俺から少し離れた。
諦めた？
珍しいなと思いながら、
つい気になり佐藤を目で追おうとした瞬間
「相原さん」
急に佐藤が相原 優子に声をかけた。
――すごく嫌な予感がした。
「はーい。
なんですか？」
あの背筋がむず痒くなるくらいの鼻にかかった甘ったるい声が耳に届く。
あの声を聞いただけでも力が抜けそうになる。
佐藤のヤツもまた面倒なヤツに声をかけやがった。
聞き取ることができないが何やら二人で話しているのに気づき、
俺は嫌な予感がして慌てて席を立つ。
そして足早にフロアから逃げ出ようとしたが
「各務さん―！」
金縛りにあったみたいに俺の足がピタリと止まる。
最初のコメントを投稿しよう！