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瞬間、
あの甘ったるい香水の匂いがして
フロアの真ん中にも関わらず
相原は俺の腕に抱きつくように腕を絡めてきた。
反射的に振り払いそうになったが、
グッと堪える。
「なんだよ」
自分を落ち着かせるように一息つき、
相原の腕をやんわりとほどくように外す。
「なんだって……、
ご飯に連れて行ってくれるんじゃないんですか?」
全く覚えのない相原の言葉に俺が首を傾げると、
相原は少し拗ねるように口元を尖らせ甘えたように身体を寄せてきた。
ヤラれた……、
と思った。
俺が一向に口を割らないものだから佐藤が嫌がらせとして
相原を差し向けたのだとすぐに分かった。
相原の目を盗みチラリと佐藤の方を見ると悠々と腕を組み、
困っている俺の姿を嬉しそうに眺めていた。
あまりの佐藤の姑息さに腹立たしさを感じながら、
今は目の前にいる相原をどうかわそうかと悩む。
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