契約

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しかもお酒のせいで記憶は殆んどなく、 交わした会話も微々たるもの。 もちろんお互いのことは全くといっていいほど知らず、 こんな状態で両親に会ってもきっとボロがでてしまう。 見た感じ、 冷静で用意周到なこの男がそんな危ない橋を渡るとは思えず、 火をずらしてくると踏んで私は男に電話したのだ。 でも男の口から出てきた言葉は 「分かった。 じゃあ、 日曜日にお邪魔する と伝えといてくれ」 またまた私の予想に反するもので 一気に気持ちが焦りだし、 頭がパニックになってゆく。 あの男は酔っていたにしろ色んなことを喋ったらしく、 私のことを少しは分かっているかもしれないが、 私には名前と住んでいる場所以外、 あの男について何も知るよしもなかった。 「ちょっ……待ってよ!  困る!」
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