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俺は車の助手席に座り、
窓を少し開け風を気持ち良さそうに受ける咲穂の横顔を盗み見ながら
溜め息をつく。
「何?
どうかした?」
俺の様子に気づいた咲穂が視線を窓の外から俺に移し、
尋ねてきた。
人の気も知らないでどこか楽しげな顔の咲穂に
一人で思い悩んでいることが馬鹿らしくなってきた。
「別に……」
「何よ!
気になるでしょ」
俺は気持ちを切り替え、
話を流そうとしたのに、
それが逆効果となったらしく咲穂がムキになって食いついてきてしまった。
「たいしたことじゃないから」
いくら俺がそう言っても納得する様子もなく、
痛いほど視線を感じる。
そんなに見られたら運転に集中できず、
仕方なく近くのコンビニの駐車場に車を停めることにした。
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