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本来、
束縛するのもされるのも嫌いな俺。
自分が嫌なことを他の人にするというのも微妙で、
しかも相手が川崎さんだけに止めにくいものがあった。
とはいえ、
俺の目の届かないところでまた酔い、
知らない男に絡まれでもしたらと思うと気が気ではなかった。
考えに考え抜いて、
そして俺が出した決断は……
「神崎の店で飲むこと、
そして遅くなりすぎないこと。
帰りは迎えに行くから電話しろよ」
今までの俺では考えられないことだった。
「え?」
俺の言葉に咲穂は驚き固まってしまった。
さすがに行き過ぎかと思い直し、
すぐに後悔したが今さら言ってしまったことを簡単に訂正しにくい。
「飲みに行っていいの?
迎えに来てくれるの?」
何とか誤魔化そうと考えていると
咲穂は身を乗り出し嬉しそうに目を輝かせて俺を見てきた。
絶対に行き過ぎて引かれるとさえ思っていたのに
それを素直に喜ぶ咲穂を俺は純だなと、
可愛いなと
――思ってしまう。
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