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「あ、
佐藤さんですよね?
一瞬、
誰か分かりませんでした」
つい顔に出てしまい、
誤魔化すために気づいたフリを決め込む私。
そんな私に佐藤さんは
「冷たいなー」と少しショックを受けた素振りを見せる。
明らかに私を待ち伏せしていた様子で
やっぱりどうもこの人は苦手だと再認識。
「あの……私、
急ぐんで」
わざと電車を気にする素振りを見せ
その場を切り抜けようと試みる。
「あ、
送るよ」
サラリと自然な言葉運びに慣れを感じ、
私は余計に身構えてしまう。
「いえ、
ちょうど電車が来るのでいいです」
なるべく笑顔を崩さないように心がけながら答え、
そのままその場を逃げるように立ち去ろうと
佐藤さんに背を向け歩き出そうとした瞬間
「あいつの過去とか知りたくない?」
佐藤さんの言葉が、
マタ私の足を止める。
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